2025年12月31日水曜日

ダクト火災で「他階テナント」から40万円の請求。失火法を盾にする店子を説得し、20万円で示談した話

こんにちは。(株)FIJの岩井です。

サブリース事業に15年携わっていると、残念ながら何度も「テナントの火災」に遭遇します。
中でも飲食店の天敵といえるのが「ダクト内火災」です。

先日、当社が管理する物件で実際に起きた事例をお話しします。
ボヤ自体はすぐに収まりましたが、本当に大変だったのは、その後の「同じビルの他階テナント」との揉め事でした。

「法律上は払わなくていいから」と突っぱねた結果、ビルオーナーが激怒し、退去寸前まで追い込まれたテナント様。
そこへ私が割って入り、泥臭い減額交渉を行って解決した「実務の記録」を共有します。

法的に「シロ」でも、ビルオーナーを怒らせたら「負け」

まず前提として、日本には「失火責任法」があり、重過失がない限り、火災で他人に損害を与えても賠償責任を負わなくてよい(お互いの保険で直す)のが原則です。

しかし、一つのビルの中に複数の店が入っている「空中店舗」の場合、この法律論だけで押し通すのは危険です。
なぜなら、煙や煤(すす)の被害を受けた「他階のテナント」は、被害感情をどこにぶつけるか。

当事者が対応しないなら、ビルの管理者である「オーナー」にクレームを入れまくるからです。


オーナー心理と退去リスク

連日クレームを受けたビルオーナーはどう思うでしょうか。

「火事を起こした上に、近隣への誠意も見せない。こんなトラブルメーカーの店子とは、次の更新はしたくない」

こう判断されたら終わりです。
改装許可が出なくなる、更新時に賃料を増額される、最悪の場合は「信頼関係の破壊」を理由に契約解除(追い出し)に向けた証拠集めが始まります。
法律で勝っても、そのビルで商売ができなくなっては意味がありません。

【実録】請求額40万円を20万円に減額した交渉術

実際の事例です。
ダクト火災を起こした当社のテナントに対し、被害を受けた他階の店舗から、以下の名目で「計40万円」の損害賠償請求が来ました。

  • 当日の売上損失(見込み額)
  • 店内清掃費用
  • 「火事のせいで客足が遠のいた」ことによる将来の予約キャンセル損害

火元テナント様は「失火法があるから払う義務はない」と拒否。
当然、相手は激怒し、ビルオーナーへ猛抗議。板挟みになったオーナーから「お宅の管理はどうなっているんだ!対応しないなら出ていってもらうぞ」と、当社に雷が落ちました。

そこで私が、火元テナント様に代わって相手方店舗へ出向き、直接交渉を行いました。


私の交渉ロジック

私は相手の怒りを受け止めつつ、実務家として以下の線引きを提示しました。

  1. 清掃費用について:
    道義的責任として、また今後も同じビルで営業する仲間として、ここは誠意を見せましょう(支払います)。
  2. 「当日の売上」と「将来の予約キャンセル」について:
    提示された売上見込みは根拠が薄く、また「将来のキャンセル」と火災の因果関係についてはエビデンスがあまりに乏しい。ここは認められません。

相手も商売人ですから、最初は渋りましたが、最終的には根拠の薄い「当日の売上・将来の予約キャンセル分」を大幅にカットし、半額の20万円で示談成立としました。

この20万円は、火元テナント様が受け取った自分の保険金(見舞金等)から捻出できたため、実質的な腹の痛みは最小限で済みました。
ビルオーナーの顔も立ち、「そこまでやるなら」と退去の話も立ち消えになりました。

「泥をかぶるパートナー」を選んでいるか

この話のポイントは、「誰がこの交渉をやったか」です。

まず、一般的な「不動産管理会社」であれば、「テナント同士の揉め事には介入しません。当事者で解決してください」と逃げるのが当然です。

では、同じ「サブリース会社」ならどうか?
正直なところ、他のサブリース会社がここまでやるかは分かりません。法的義務はないですし、何より面倒なトラブルに首を突っ込むことになるので、普通はやらない(見て見ぬふりをする)可能性が高いでしょう。

しかし、私たちFIJは介入しました。
なぜなら、私たちの仕事は物件を貸すことではなく、「テナント様が商売を続けられる環境を守ること」だからです。

  • 法的なライン(失火法)を理解した上で、
  • ビルオーナーの顔色(政治的なリスク)を読み、
  • 相手方と金額の減額交渉まで行う。

ここまで泥臭く動く会社だからこそ、オーナー様にもテナント様にも「FIJなら安心だ」と言っていただける。
これが当社の最大の強みであると自負しています。
本当はやりたくありませんが、サブリース会社の宿命と思ってあきらめてます。

まとめ

火災時、本当に怖いのは「火」ではなく「人間関係」です。
40万円の請求を無視して店を追い出されるか、プロを挟んで20万円で手打ちにし、商売を続けるか。

「道義的責任」と「店舗運営のリスク」を天秤にかけ、いざという時に泥をかぶって交渉してくれるパートナーを味方につけてください。


【ブログ読者様 限定】本部長直通(監修) 特別相談窓口

この記事を最後まで読んでいただいた方には、通常の一般窓口とは異なる「優先レーン」をご案内します。

「会社の公式フォームだと、事務的な対応をされそうで不安だ」
「マニュアルではなく、実務家による具体的な解決策を知りたい」

という方は、以下のフォームからご連絡ください。
私(岩井)が責任を持って内容を確認・監修し、方針を固めた上で、専任の担当者より具体的な解決策をご連絡いたします。

本部長直通 相談窓口

この記事の監修・執筆

岩井義浩

(株)FIJ 営業本部長 / 岩井 義浩

宅地建物取引士試験合格(登録申請中) 行政書士試験合格 2級FP技能士

元上場ノンバンク支店長(金融歴5年)、不動産サブリース実務15年。
「感情論ではなく、数字と法律でオーナーを守る」が信条のアナライザー。
年間200件以上の店舗査定と撤退相談を行い、AIを活用した適正な出口戦略を提案している。

0 件のコメント:

コメントを投稿

【実録】店舗の居抜き譲渡トラブル!引き渡し当日の「現状有姿」の罠と防衛術

営業本部長の岩井です。 「譲渡契約書にハンコを押して、支払いも完了した。店舗の引き渡しも受けたし、明日から新しい一歩を踏み出そう!」 もしあなたが今、そう思ってホッとしているなら、とんでもない落とし穴にハマるかもしれません。 店舗の居抜き譲渡(造作譲渡)において、多く...