以前、私は20年続いたバーの売却を支援し、結果として大きな収益メリットをオーナー様にもたらした成功事例をお伝えしました。しかし、すべてのケースがそうなるとは限りません。
今回は、私の忠告を無視して他社の「甘い言葉」に乗り、最終的に資産をすべて失っただけでなく、100万円単位の赤字(持ち出し)を背負って撤退することになった経営者の実話を公開します。成功の裏側には、必ずこうした「判断ミスによる損失」が存在します。
現場調査で突きつけた「高値売却への引導」
私は物件を訪問する前に周辺エリアを歩き、周辺相場より一段高い家賃設定を把握しました。オーナー様にお会いした際、私は忖度せず「高値で売ることは諦めた方がいい」とはっきり伝えました。これがプロとしての最初の、そして最も誠実なアドバイスでした。
迷走の始まり:やっぱりそうなるよね、という事態
しかし、オーナー様は他社を選ばれました。おそらく「高値で売れる」といった耳障りの良い言葉を並べられたのでしょう。そこからの時系列は、やはりそうなるよね、という事態になりました。
- 事実1:仕事を受注した他社から、即座に提携先の当社(FIJ)へ「募集を代行してくれないか」と打診が届く。
- 事実2:当社がこれを断ると、彼らはまた別の会社へ依頼。
- 事実3:その依頼を受けた会社が飲食店.comに情報を掲載。しかしそこには、周辺相場を無視した、成約の見込みがない高値の条件が並んでいた。
FIJの流儀:高値への挑戦と、致命的な「放置」
誤解しないでいただきたいのは、当社(FIJ)でも、最初はオーナー様の希望条件で募集をかけることがある、ということです。私は自分の読みが100%正しいとは思っていません。高く売れる可能性はゼロではない以上、希望価格での挑戦はオーナー様への敬意であり、納得感を持っていただくための「配慮」でもあります。
本当の問題は「高く出すこと」ではありません。「市場の反応がないのに、条件修正もせず放置すること」です。飲食店.com上では一応ヒットはしていたようですが、ほとんど問い合わせもないまま、その他社は貴重な時間を漫然と浪費し続けました。
解約届のジレンマ:正解のない、しかし重い判断
解約届のタイミングについても、私は「募集の期限が限られて不利になるため、慎重に出すべきだ」と伝えていました。しかし、オーナー様は依頼した他社と相談されたのか、すでに解約届を出してしまいました。
この判断自体を「間違い」だとは断定しません。いつ辞めるかを明確にしたい経営判断もあるからです。ただ、結果としてこの「期限」が、買い手や管理会社との交渉力を著しく低下させるタイムリミットになったのは事実です。
1ヶ月前のSOSを、なぜ助けてあげないのか?
解約期限まで残り1ヶ月。他社が市場でやり尽くし、挽回不可能な状況になった段階でオーナー様が当社に泣きついてこられました。しかし、私はお断りしました。
「なぜ助けてあげないのか?」と思われるかもしれません。しかし、これが私のビジネスの線引きです。最初から当社を信頼して任せてくれているお客様に全リソースを割くのが私の責務であり、一度当社を袖にして他社を選んだ方のために、既存のお客様の時間を削ることはあり得ません。商売である以上、成約可能性が著しく低い案件に会社のリソースをわざわざ割く必要はないと考えています。
結末:回避できたはずの「300万円」
結局、居抜きでの売却は叶わず、オーナー様は原状回復(スケルトン解体)という最悪の結末を迎えました。
- 成功事例(バー):市場の現実を早期に受け入れ、資産価値を最大化。
→ 【参考】600万円の収益メリットを生んだ成功事例の裏側 - 今回の失敗事例:高値に固執し時間を浪費。解体費用で約300万円が発生。償却後の保証金約200万円を充当しても100万円足りず、財布から「追い銭」として100万円を持ち出す結果となった。
この物件において私の助言が守られていれば、少なくともこの300万円の支払いは回避できたはずでした。甘い言葉は耳に優しいですが、あなたの資産を守るのは、時に耳の痛い現実を突きつける専門家の言葉なのです。
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この記事の監修・執筆
(株)FIJ 営業本部長 / 岩井 義浩
元上場ノンバンク支店長(金融歴5年)、不動産サブリース実務15年。
「感情論ではなく、数字と法律でオーナーを守る」が信条のアナライザー。
年間200件以上の店舗査定と撤退相談を行い、AIを活用した適正な出口戦略を提案している。


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